2023年3月12日 市民みんなで環境を語る会「講演会」
講演会「植物は元素を見分けられるか?-原発事故による放射能汚染を振り返って-」
環境科学分野の専門家をお招きし、環境問題に関しての講演会を実施しました。参加人数16名。
日時:3月12日(日) 15:30~17:10
会場:パレット柏多目的スペースA
講師:吉原利一氏(博士(農学)、樹木医、法政大学生命科学部、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構)
質疑応答では、質問が多数あり、時間を延長して対応していただいたほど、参加者の放射能汚染、その植物体への影響についての関心の高さが伺えました。講演の最後に植物を使った環境汚染物質の除去(ファイトレメディエーション)の説明がありました。今回の放射性セシウムの除去においての各種の植物を使った実験では、年間最高で2割程度の除去効果があった事例もあるとの事で、今後様々な環境汚染にも適応できる技術らしいので、今後の発展を大いに期待したいと思います。
講演内容
1 放射能、放射線、放射性物質
放射線の基礎、各放射線(α線、β線、中性子線、γ線等)の特徴
2 植物が取り込む元素とそのしくみ
植物が必要な基本元素、肥料で重要な窒素(N)リン(P)カリウム(K)
根からの水や各元素の吸収と葉、枝、幹への移動、年間の変化など
3 原発事故と放射能の拡散
福島県域での放射能汚染の拡散状況と柏市への影響(大気中に拡散して風で移動し、降雨により落下した)
4 放射性セシウム137(半減期30年)汚染状況と対応
植物はセシウムをカリウムと区別できずに吸収してしまい、植物体の中では年間周期で転流している。
放射性セシウム134(半減期2年)は急速に減衰、放射性セシウム137は減衰と排泄でかなり低下している。
伐採した木材、枝葉は柏市ではやっと可燃物で廃棄処理可能となっている。
セシウム137は土壌に固着すると移動しないので、土壌上層の除去で放射能除去処理ができる。
手賀沼の放射能汚染した汚泥は湖底に沈殿したままであっても水で遮蔽されている状態で危険性は少ないと考えられる。